スクリーン印刷とは?特徴や他の印刷方法との違い、工業用途での活用法 

  • 技術コラム

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ニチベイパーツは、60年以上の歴史を持つパーツメーカーです。 

樹脂切削加工からスクリーン印刷、組立までを一貫して行うことで、お客様のニーズに最適な納期・品質・コストを実現します。 

製品の「顔」となるロゴや操作パネルの印刷は、美観だけでなく高い耐久性が求められる重要な工程です。 

ここでは、工業製品の加飾や機能付与に欠かせない「スクリーン印刷」の仕組みやメリット、他の印刷方法との違いについて詳しく解説します。 

スクリーン印刷とは?基礎知識とシルクスクリーン印刷との違い 

スクリーン印刷は、古くからある印刷技術でありながら、その高い汎用性と耐久性により、現代の工業製品製造においても第一線で活用されている技術です。 

まずはその定義と基本的な仕組みについて解説します。 

スクリーン印刷の定義と仕組み 

スクリーン印刷は、「孔版印刷(こうはんいんさつ)」と呼ばれる方式の一種です。 

その名の通り、版に開けた「穴(孔)」からインクを押し出し、被印刷物(ワーク)へ転写する仕組みを持っています。 

具体的な工程は以下の通りです。 

  1. 版の構造:メッシュ状のスクリーン版を用意します。 
    この版は、インクを通過させる「孔(デザイン部分)」と、乳剤で固めてインクを通さない「非デザイン部分」で構成されています。 
  1. 印刷の動作:版の上にインクを載せ、「スキージ」と呼ばれるヘラ状の道具で圧力をかけながらスライドさせます。 
  1. 転写:スキージの圧力により、孔を通過したインクが対象物に押し出され、デザインが転写されます。 

現在、版の素材にはナイロンやテトロン(ポリエステル)などの合成繊維、あるいはステンレスなどの金属繊維が利用されており、高精度な工業印刷を支えています。 

「スクリーン印刷」と「シルクスクリーン印刷」の違いと歴史 

「スクリーン印刷」と「シルクスクリーン印刷」は、基本的に同じ印刷技法を指す同義語です。 

かつて、この印刷方式の初期段階では、版のメッシュ素材として「絹(シルク)」が使われていました。 

そのため「シルクスクリーン」という名称が定着しました。 

しかし、現代の工業用途では、絹よりも耐久性や寸法安定性に優れた合成繊維や金属繊維が主流となっています。 

素材としてシルクが使われなくなったため、現在では「シルク」を省略し、単に「スクリーン印刷」と呼ぶことが一般的です。 

スクリーン印刷の強み:BtoB分野で選ばれる理由 

なぜ、デジタル技術が発達した現代でも、アナログな手法であるスクリーン印刷が多くの工業製品に採用され続けるのでしょうか。 

その理由は、他の印刷方式では代替できない独自の強みにあります。 

多様な素材・形状への対応力(水と空気以外) 

スクリーン印刷の最大の特長は、「水と空気以外のほとんどあらゆる素材に印刷が可能」と言われるほどの対応力です。

紙はもちろん、プラスチック(樹脂)、ガラス、金属、布など、材質を選ばずにインクを定着させることができます。 

また、版(スクリーン)自体に適度な柔軟性があるため、平面だけでなく、円筒形のボトルや緩やかな曲面を持つ製品(自動車のリアウインドウなど)にも印刷が可能です。 

工業用途としては、アルミニウム銘板、精密部品トレー、各種操作パネル、樹脂成形部品など、多岐にわたる分野で実績があります。 

素材に応じた専用インクや、最適なメッシュ数(版の粗さ)を選定することで、厳しい品質基準をクリアする印刷が可能となります。 

鮮やかな発色と厚膜印刷の実現 

スクリーン印刷は、他の印刷方式と比較して「インクを厚く乗せる(厚膜印刷)」ことができます。 

これが品質面での大きなアドバンテージとなります。 

  • 高い隠蔽性:インク層が厚いため、下地の色をしっかりと覆い隠すことができます。 
    例えば、黒色の樹脂パーツや濃色の金属板の上に、白や黄色の文字を印刷しても、下地の色が透けることなく、くっきりと発色します。 
  • 鮮やかな発色:インクの厚みは、製版時の乳剤の厚みや、印刷時の印圧(スキージ圧)でコントロール可能です。 
    たっぷりとインクを使用することで、視認性の高い鮮やかな色彩を実現します。 

高い耐久性・耐候性とそのメカニズム 

工業製品において印刷の剥がれや退色は致命的ですが、スクリーン印刷はこの点においても非常に優秀です。 

インクを厚く塗布し、素材にしっかりと定着させるため、摩擦や引っかきに強く、長期間使用しても摩耗しにくい特性があります。 

また、使用環境に応じて耐候性や耐溶剤性に優れたインクを選定できるため、屋外で使用される機器の銘板や、頻繁に操作されるスイッチパネルの表示、製品の注意書きラベルなど、過酷な条件下でも高い信頼性を発揮します。 

機能性インク(ペースト)を活用した応用例 

スクリーン印刷の大きな特長として、単に色やデザインを表現するだけでなく、特殊な機能を持ったインク(ペースト)を使用することで、製品に「付加価値」を与えられる点が挙げられます。 

例えば、電子部品の製造分野では、銀やカーボンを含んだ「導電ペースト」や「機能性接着剤」を使用することで、電気回路やセンサーを形成する「プリンテッドエレクトロニクス」技術として活用されています。 

また、製品の意匠や安全性を高めるための特殊な加飾にも対応可能です。 

  • 蓄光インキ:光を蓄えて暗所で発光するため、避難誘導サインなどの安全対策や節電対策に利用されます。 
  • メタリックインク:金属のような輝きを持たせ、高級感を演出します。 
  • 発泡インク:加熱によりインクが膨らみ、点字や立体的なデザイン表現を可能にします。 

このように、目的に応じてインクを使い分けることで、機能性と装飾性を兼ね備えた製品づくりが実現できます。 

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他の印刷方法との比較と使い分け 

工業部品への印刷には、スクリーン印刷以外にも「インクジェット印刷」や「パッド印刷」が用いられます。 

それぞれの特性を理解し、用途に合わせて最適な工法を選ぶことがコストダウンと品質向上の鍵です。 

以下に、主要な印刷方式の比較をまとめました。 

特徴 スクリーン印刷パッド印刷インクジェット印刷 
意匠再現性 鮮やかさ◎
隠蔽性◎ 
厚いインク層でくっきり発色 
鮮やかさ〇
隠蔽性△ 
インク層が薄い 
鮮やかさ〇
隠蔽性△ 
インク層が薄い 
細やかさ △ 
メッシュによる限界あり 
〇 
ゴム版作製の限界あり 
◎ 
微細ドットで高精細・グラデーション可 
形状対応 △ 
基本は平面・円筒 
◎ 
凹凸や曲面、球体が得意 
△ 
基本は平面 
印刷範囲 ◎ 
版の寸法次第で大判も可 
△ 
パッド寸法に限界あり 
◎ 
印刷機の寸法次第 
初期コスト △ 
版代が必要(色数分) 
△ 
版代・治具代が必要 
◎ 
版代不要 
量産コスト ◎ 
量産するほど割安 
〇 
比較的安価 
× 
時間がかかり高コストになりがち 

スクリーン印刷とインクジェットプリントの違い 

インクジェット印刷は版が不要なため、試作や極小ロット(数個〜数十個)の生産において初期コストを抑えられる点が最大のメリットです。 

また、デジタルデータを直接出力するため、写真や複雑なグラデーションのような階調表現を得意としています。 

対してスクリーン印刷は、色数ごとに版を作製する初期費用(版代)がかかりますが、印刷自体のランニングコストは安いため、ある程度の数量(量産)が見込める場合はインクジェット印刷よりも圧倒的に低コストになります。 

表現力についてはフルカラー写真は苦手ですが、単色のロゴや文字を「濃く・はっきり・耐久性高く」印刷する用途ではスクリーン印刷が優れています。 

スクリーン印刷とパッド印刷の比較 

パッド印刷は、柔らかいシリコンパッドにインクを転写してスタンプのように押す方式を採用しており、ゴルフボールのような球体や、凹凸のある複雑な形状への印刷に強みを持っています。 

一方、スクリーン印刷は基本的には平面や円筒のワーク向けであり、極端な凹凸への印刷には限界があります。 

しかし、インクの膜厚と範囲に関してはスクリーン印刷が勝ります。 

パッド印刷はインク膜厚が薄く、広い範囲へのベタ塗りが苦手ですが、スクリーン印刷であれば広い面積に均一かつ厚くインクを乗せることが可能で、高い隠蔽力や耐久性が求められる用途に適しています。 

大量生産と小ロット生産のコストメリット比較 

スクリーン印刷の導入を検討する際、最も意識すべきは「版代」と「生産数量」のバランスです。 

スクリーン印刷では、まずデザインの色数分だけ版を作成する費用(版代)が初期コストとして発生します。 

しかし、版さえ作製してしまえば、その後の印刷にかかるインク代や作業費は低く抑えられるため、生産数が増えれば増えるほど製品1個あたりの単価は下がっていく仕組みです。 

また、作製した版は一定期間保管・再利用が可能であるため、リピート注文時には版代がかからず、継続的な量産品においては非常にコストパフォーマンスの高い工法となります。 

【工業・精密部品】スクリーン印刷の高度な活用事例 

スクリーン印刷は単なる加飾技術にとどまらず、最先端の工業分野や電子デバイス製造においても重要な役割を果たしています。 

まず代表的なものとして「プリンテッドエレクトロニクス分野」での活用が挙げられます。 

これは導電性ペースト(銀、カーボン、銅など)をインクとして使用し、フィルム上に電子回路やセンサーを形成する技術です。 

スマートフォンの内部部品やRFIDタグなど、薄型化と大量生産が求められる電子デバイス製造において、コスト効率の良い工法として広く採用されています。 

次に、電子機器の小型化に伴う「微細パターン形成技術」の進化です。 

高密度なメッシュ版や金属版を使用することで、線幅100μm以下という極めて細い配線の印刷が可能となっており、精密さが要求される電子部品の製造を支える重要技術となっています。 

さらに、自動車や医療といった特定産業でも独自の進化を遂げています。 

自動車のリアガラスにある曇り止め熱線(デフォッガ)や、医療用の血糖値測定センサーの電極など、耐久性や特殊な材料特性が必要な製品製造において、スクリーン印刷技術は欠かせない存在となっています。 

※本セクションでご紹介している内容は、スクリーン印刷技術の一般的な応用事例です。 
現在、ニチベイパーツでは上記の特殊印刷(導電ペースト使用や回路形成等)には対応しておりませんので、あらかじめご了承ください。 

スクリーン印刷の依頼・発注における注意点 

スクリーン印刷は「版」と「メッシュ」を使用する物理的な制約上、モニターで見ているデジタルデータ上の表現がそのまま製品に再現できるとは限りません。 

発注後のトラブルを防ぎ、スムーズに納品まで進めるためには、事前にデザインデータの作成ルールを把握しておくことが重要です。 
 
特に注意が必要なのが、線や文字の太さです。 

線が細すぎるとインクが版の目を通過できずにかすれたり、逆に滲んでつぶれたりする原因になります。 

一般的な目安として、線幅や線間の隙間は一定以上(例:0.1mm〜0.2mm以上など)確保することが推奨されます。 

ニチベイパーツでは高精細な製版技術により、最細印刷線幅0.12mm、線間0.1mmという微細な表現も可能ですが、デザイン段階で余裕を持たせることが品質の安定につながります。 

また、色の濃淡表現にも特性があります。 

スクリーン印刷は基本的に「インクが乗るか、乗らないか」の2値表現であるため、グラデーションやぼかし効果をそのまま印刷することはできません。 

これらを表現したい場合は、網点(ハーフトーン)と呼ばれるドットの集合で擬似的に濃淡を作る処理が必要です。 

なお、入稿データについては、印刷したい部分以外を完全に透明化し、拡大しても画質が劣化しないベクターデータ(AI形式など)で作成することが、理想的な仕上がりへの近道となります。 

まとめ:樹脂加工から印刷・組立までの一貫対応ならニチベイパーツ 

スクリーン印刷は、多様な素材への対応力、鮮明な発色、そして過酷な環境にも耐えうる高い耐久性を兼ね備えた技術です。 

ニチベイパーツでは、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートシート、アクリルシートなどのプラスチックシートに対し、この強みを生かした高品位な加飾を行っております。 

これは、銘板、操作パネル、ディスプレイパネルなど、現在の工業製品には不可欠な要素です。 

さらに、ニチベイパーツはプレス加工、切削加工を保有しており、印刷から外形加工、完成までを自社内で一貫生産しています。 

部品としての総合的な高品質化、コスト対応、品質保証、そして安定供給までを実現しうる数少ないパーツメーカーであると自負しております。 

ニチベイパーツは、お客様のニーズに対し、素材選定から加工、印刷までを丁寧なコンサルティングを通じて最適なソリューションとして提供いたします。 

試作をはじめ、技術相談、量産、コスト、納期のすべてのフェーズで専門家によるサポートが可能です。 

まずは気軽にご相談ください。 

確かな技術力で皆様のお役に立てると確信しております。 

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